遺言撤回の自由!

遺言者には、遺言撤回の自由があります。
民法は、遺言者の最終意思を尊重するとの遺言制度の趣旨に基づき、

遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を
撤回できると規定しています。(民法1022条)

さらに、遺言者は遺言の撤回権を放棄することはできず、(民法1026条)
子供が遺言の撤回を要求してきても、応じる必要はありません。

詐欺や脅迫によって親に遺言を撤回させたり、遺言を取り消させたり、
変更させると、その子供は相続において欠格者となります。(民法891条4項)

◇撤回の原因と時期

遺言者は、生前であれば、原因のいかんを問わず、理由を問わず、
いつでも自由に遺言の撤回をすることができます。

◇遺言の撤回者

遺言を撤回できるのは、遺言者本人だけであり、代理人によることはできません。
遺言を撤回する権利が相続人に承継されることもありません。

◇撤回の方式

遺言の撤回は遺言の方式に従わなければなりません。
内容証明郵便による撤回は、遺言方式の撤回には該当しません。

◇公正証書遺言書の撤回

遺言の方式によって撤回するのであれば、公正証書遺言書で遺言を撤回をする
必要はなく、自筆証書遺言書で公正証書遺言書を撤回することも可能です。

法定撤回とは?

(1)法定撤回

遺言者が撤回の意思表示をしていなくても、以下の事実があったときには、
遺言の撤回があったものとされます。(民法1023条、1024条)

①前の遺言と抵触する遺言がなされた場合には、
その抵触する部分について、前の遺言を撤回したものとみなす。

②前の遺言と抵触する生前処分がなされた場合には、
その抵触する部分については、前の遺言を撤回したものとみなす。

③遺言者が故意に遺言書を破棄した場合には、
破棄した部分について、遺言を撤回したものとみなす。

④遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合には、
破棄した部分について、遺言を撤回したものとみなす。

(2)抵触遺言

遺言は、遺言者の最終意思を尊重するものであるため、
日付の異なる遺言が複数ある場合、後の日付の遺言が優先されます。

しかし、複数の遺言があっても、遺言の内容が抵触しない場合には、
すべての遺言が法的に有効となります。

以上、遺言者が撤回の意思をもっていたかどうかは問われませんので、
忘れて抵触遺言をしても、前の遺言は撤回となりますので、注意が必要です。

抵触遺言で問題となる「抵触」とは、前の遺言を失効させないと後の遺言を
実現できないほど、遺言の内容が矛盾することをいいます。

遺言の破棄

<遺言書の破棄>

破棄とは、遺言を破り捨てたり裁断するなど、物理的な行為のほかに、
文面を抹消して読めなくする行為も破棄となります。

破棄は、遺言者自身の破棄が要件となりますが、第三者による破棄でも、
本人の意図や指示に基づく場合には破棄となります。

元の文言が判読可能である場合には、破棄ではなく、遺言書の加除修正の
問題となり、その方式に従っていない限り、元の文言が効力を持ちます。(通説)

公正証書遺言書の場合、いくら手元にある遺言書を破棄しても、
遺言書の破棄にはあたりません。

<遺言の目的物の破棄>

遺言の目的物の破棄は、遺言者自身が故意に破棄する必要があり、
過失による破棄や、第三者が破棄した場合は該当しません。

ただし、第三者が破棄したとしても、遺言者の意図や指示によるものであれば、
遺言の目的物の破棄になります。

さらに、第三者によって遺言の目的物が破棄された場合は、
遺言者が取得する賠償請求権を遺贈の目的としたものと推定されます。(民法999条)

破棄には、目的物を物理的に滅失、毀損する場合のほか、例えば家の壁に消えない
ペインティングをするなど、経済的な効用を喪失させる場合も含みます。

撤回された遺言の効力

撤回された遺言は、その撤回行為が撤回されたり、取り消されたり、
または、その効力が生じなくなったとしても、効力が復活することはありません。

ただし、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が当初の遺言の復活を希望するもの
であることが明らかであるときは、当初の遺言が復活します。(最判平9/11/13)

また、遺言の撤回が、他人の詐欺または脅迫によってなされたときは、
その撤回行為の取り消しをすれば、遺言の効力は回復することになります。(民法1025但)

負担付遺贈にかかる遺言の取り消し

「年老いた母親と同居して最後まで面倒を看る代わりに、自宅を相続させる」
「ペットの世話をしてくれることを条件として財産を遺贈する」

以上のように、自分の亡き後、何らかのことをお願いするかわりに
財産を譲る遺言もよく作成されます。

しかし、残念ながら、本人の最後の切なる気持ちに反して、
遺言によって託された義務を履行しようとしないケースがあります。

以上のように、本人がわざわざ遺言を作成してお願いをしたのに、
負担付遺贈を受けた者が、その負担義務を履行しないとき、

相続人そして遺言執行者は、
相当の期間を定めてその義務を履行するよう催告することができます。

そして、その期間内に履行がない場合には、
遺言の取り消しを家庭裁判所に請求することができます。

負担付相続の場合も同様に、財産を貰い受けた相続人が負担義務を履行しないとき、
他の相続人は、履行の催告をした後、遺言の取り消し請求を行うことができます。

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