遺言執行者の指定

遺言者は、その遺言書において、1人あるいは数人の遺言執行者を指定し、
または、その指定を第三者に委託することができます。

遺言で遺言執行者を指定したとしても、執行者が先に死亡する場合があります。
その場合に備えて、予備的に他の人を遺言執行者に指定しておくこともできます。

相続人の排除、遺言による認知など、遺言執行者が必要となるケースにおいて
遺言執行者が指定されていない場合には、家裁に選任の申立てを行います。

遺言執行者の就任と拒絶

遺言の中で遺言執行者に指定された人は、
その指定によって、法律上当然に遺言執行者になるわけではありません。

遺言執行者は、その就任承諾によって任務に就くことになり、
就任承諾をしたときは、直ちに遺言執行者として任務に取りかからねばなりません。

遺言執行者が就任を承諾するかどうかは本人の自由に任されており、
いかに本人と親しい間柄であったとしても、就任を承諾すべき義務はありまません。

相続人その他の利害関係人は、指定された人に、就任をするのかどうか確答するよう
催告をすることができ、返事がない場合には就任を承諾したものとみなされます。

家庭裁判所による選任

遺言に遺言執行者の指定がないとき、または遺言執行者が亡くなったとき、
家庭裁判所は利害関係人の請求により遺言執行者を選任することができます。
遺言書の検認が必要な場合には、遺言執行者選任の申立てと同時に
遺言書の検認申立てもなされるケースが多くあります。

<遺言執行者の選任申立て>

選任の申立ては、相続開始地を管轄する家庭裁判所に対して
以下の書類を揃えて申立てを行います。

1.申立人の戸籍謄本
2.遺言者の除籍謄本
3.遺言執行者候補者の戸籍謄本
4.遺言執行者候補者の住民票
5.遺言書の写し

<選任における検討事項>

申立において候補者を推薦するのが一般的ですが、常に選任されるわけでなく、
さまざまな事情が総合的に考慮されて、裁判所が最終決定をします。

遺言執行者になれる人

遺言で遺言執行者に指定できない人は以下のとおりです。

◇未成年者
◇破産者

遺言執行者は、遺言で財産をもらうことになる人も指定することが可能です。
ただし、相続争いが予想される場合には、専門職を指定しておいた方が無難です。

遺言で第三者が遺言執行者に指定されていた場合、相続人や利害関係人は、
その者に就任するか否かの催告ができ、確答がない場合は、就任承諾となります。

遺言執行者の地位と権限

遺言執行者は、「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為を
する権限を有する」とされています。(民法1012条)

具体的には、相続財産の存否を調査した上、必要に応じて管理者から相続財産の
引き渡しを受け、訴訟提起も含め遺言執行の妨害を排除することができます。

相続人は、相続財産を勝手に処分したり、執行を妨げる行為をすることはできなくなり、
これは、遺言執行者が就任する前も含みます。

遺言執行者が指定されているにもかかわらず、相続人が相続財産を処分した場合、
その処分行為は絶対的に無効となります。

遺言執行者の義務

<善管注意義務>

遺言執行者は、善良なる管理者の注意をもって、任務を遂行する義務があり、
この義務を怠れば、相続人に対して債務不履行責任を負うことになります。

<報告義務>

遺言執行者は、相続人の要求があるときは、いつでも遺言執行の状況などを
報告する義務があり、この義務を怠れば、債務不履行責任が発生します。

<任務の開始義務>

遺言執行者は、相続人に対して就任を承諾したときは、
直ちにその任務を行わなければなりません。(民法1007条)

<受取物引き渡しの義務>

遺言執行者は、遺言執行にあたって受け取った金銭やその他の物、
収集した果実などを相続人に引き渡さなければなりません。(民法1011条)

<財産目録の作成、交付義務>

遺言執行者は、その就任後遅滞なく、相続財産目録を作成して各相続人に対して
交付しなければなりません。(民法1011条)

<補償義務>

遺言執行者は、相続人に引き渡すべき金銭を自分のために消費したときは、
消費した日以降の利息の支払いを要し、損害があれば賠償責任を負うことになります。

遺言執行者の復任権

遺言執行者に指定された人は、やむを得ない事由がなければ、
第三者に任務を行わせることはできません。

第三者に任務を行わせることができる場合も、遺言執行者は相続人に対して
その選任と監督について責任を負うことになります。

遺言執行者の地位の喪失

遺言執行者の任務の完了の他、執行不能、執行者の死亡、辞任、解任
欠格事由の発生などによって、遺言執行者はその地位を喪失します。

<任務完了の通知>

遺言執行者は、執行の終了後、相続人および受遺者に対して
その任務完了の通知をしなければなりません。

正式に任務完了の通知をしなければ、相続人や受遺者に対して、任務の完了を
対抗することはできず、報酬の支払いを拒否される可能性があります。

<保管物の引き渡し>

遺言執行者は、任務完了後、ただちにその執行に関し受け取った金銭その他の
物を相続人に引き渡さなければなりません。

<執行の顛末報告>

遺言執行者は、相続人および受遺者に対し、その任務完了後、遅滞なく
その執行の顛末について報告しなければなりません。

遺言執行者の辞任

遺言執行者は、自分の意思でいつでも自由に辞任をすることはできず、
正当な理由があって、家庭裁判所の許可した場合に限り辞任ができます。

遺言執行者の疾病、長期の出張、多忙な職務など、遺言執行者として
不適任な個人事情がある場合に、その正当な理由があるとされます。

遺言執行者の解任

遺言執行者がその任務を怠った場合、遺言執行者の解任について正当な
理由がある場合、家庭裁判所は、申立てにより解任の審判をすることができます。

<任務を怠った場合に該当するケース>

・遺言執行者が、正当な理由なく相続財産の目録を交付しない場合
・相続人から請求があったにもかかわらず、事務処理報告をしない場合
・遺言執行者が、相続財産を不適切に保管し、管理している場合 … など

<正当な理由がある場合に該当するケース>

・遺言執行者に適切な遺言執行を期待できない場合
・特定の相続人の利益確保に加担している場合
・著しく不公平な遺言執行がなされている場合 …  など

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